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生の、温かい、搾りたての水牛のミルク、万歳。ジャン・デュビュッフェのドローイング展

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ジャン・デュビュッフェのドローイング展 (Dubuffet Drawings, 1935–1962) 
ザ・モルガンライブラリー&ミュージアム (The Morgan Library & Museum)

2016年9月30日~2017年1月2日

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http://www.themorgan.org/

マンハッタンの中心地にあるモルガンライブラリー&ミュージアムは、ジョン・P・モルガンの個人コレクションを一般に公開したものです。彼は、世界で最も力のある金融会社JPモルガンチェースの前身となる金融会社を設立し、莫大な富を築きました。ホームページからも、城の様な建築物と世界中から収集された蔵書・アートコレクションの一部が見られます。文末にこの部屋を見渡した動画を添付してありますので、興味の在る方はご覧下さい。

さて、このブログではアール・ブリュットやアウトサイダーアートを頻繁に取り上げていますが、そもそもこの「アール・ブリュット」という概念を作ったのが、ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet,1901 - 1985) です。


アールブリュットとは何かを定義すると「正規の美術教育を受けていないアート」とか「生の芸術」など、一瞬イメージしにくい表現がつきまといますが、1945年にデュビュッフェが画家の友人 ルネ・オーべルジュノア (René Auberjonois) に宛てた手紙※に書かれた文章と考え方はとてもシンプルです。

※Letter from Dubuffet to René Auberjonois, August 28, 1945. Printed in Jean Dubuffet, Prospectus et tous écrits suivants, tome II (Gallimard, 1967), 240. Translation from Lucienne Peiry, Art Brut: The Origins of Outsider Art (Paris: Flammarion, 2001), 39. 訳 Asuka Morii

私は「無名の芸術(アート・オブ・スキュラ)」よりも「 生の芸術(アール・ブリュット)」を選ぶ。私にとって専門的な芸術が先見があり明晰であるとは思えないからだ。むしろその逆である。(中略)なぜあなたは、原石の金が偽物の金よりも偽物だと書くのだろうか。私は金の腕時計よりも天然の金塊の方がよい。生の、温かい、搾りたての水牛のミルク、万歳

 

デザインされた金細工よりも、金の塊そのもののほうが美しいだろ? 牛の乳を直接飲むほうが、乳製品飲料よりもリアルでいいだろ? と言われると分かる気がします。アール・ブリュットというのは「正規の美術教育を受けていないアート」というよりも「加工されていない原石のようなアート」と言うほうがデュビュッフェの意図は伝わりやすいのかもしれません。

 

会場はこんな様子:





 

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この展覧会の図録:

 

モルガンライブラリーの部屋の動画。手書きのバッハやリストの楽譜から、別部屋にはエジプトの古代遺跡のコレクションまでありました。

 

別の部屋のひとつ。重厚なという表現がぴったり。薄暗い明かりにの中、真紅のビロードの壁紙と分厚い絨毯が音を吸い取り、まるで防音室のよう。

 

 

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