アメリカぷるぷるアート観光 Altruart in America

ニューヨークより心が震えるアートの紹介。障害とアート/アウトサイダーアート/アールブリュット/現代アート/NPO団体/アートフェア/美術館/おもしろグッズ etc.

ぷるぷると心震えるアートなカレンダーが at カリフォルニア州・シャスタのオーガニックスーパー

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カリフォルニア州のシャスタに滞在していました。これまでの記事はこちら。

クリスタルガイザーの源泉地、聖地・シャスタ山のヘッドウォーターの公園にて・・・ 

木と熊と鉄道と金の採鉱と。過去・現在・未来に光を当てるシッスン美術館 at カリフォルニア州の聖なるシャスタ 

マーク・トゥエインゆかりの街で「昔のままの美術館」The way it was Museum at バージニアシティin ネバダ州 

 

滞在中は近所のベリーヴェイル(BERRYVALE) というスーパーマーケットに通いつめていました。基本的に全てオーガニックで、健康思考の方たちが好みそうな生活用品から基礎化粧品までが揃っています。

アメリカではオーガニックの野菜を食べるのはある程度普通で、そんなに特別なことではありません。私も無農薬かそれに近いものをわりと普段から食べているので、こういうスーパーがあるのは非常に嬉しいです。(とはいっても、オーガニックがあれば食べるという程度で、普通の定食屋さんや居酒屋にいけばなんでもモリモリ食べる程度のこだわりです。ベビースターラーメン大好きですし。)

何が良いか悪いかは本当のところは誰にもわかりませんし、自身の意識と選択、それだけですね。

 

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ブランチを購入しようと列に並んでいました。ここで使われる食材も、野菜は勿論の無農薬で、鮭ならば天然だし、肉ならば安全なグラスフェッドだし、、というこだわり。今日は何にしようかと迷っていると、ふと目についたものがありました。

 

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食品の冷蔵の右に見えるタワー。これは、、カレンダー?なんだか見覚えのある絵があります。よく見てみると、

 

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画集も手元にあるので、見間違えることはありません。以前ブログでもご紹介していました、アウトサイダー・アートやアール・ブリュットではおなじみの人気作家、天才サヴァン症候群のグレゴリー・ブラックストック (Gregory Blackstock, 1946 - )さんです。

 

自閉症という言葉もうまれるずっと前の1946年、シアトルに生まれました。精神科医によると、グレゴリーさんのアート・音楽・言語への明らかな才能から、彼はサバン(サヴァン)症候群の中でも、天才サバンだと言われています。反復されるオブジェクトはアニメキャラから飛行機・建築物・動物と多岐にわたるので、検索してみると面白いです。

サヴァン症候群は日本のドラマ「ATARU」で中居正広さんが演じて一躍有名になりましたアインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチもそうだったとされる説もあるようです。イギリスの建築家で、一度見ただけで風景を映像のように記憶し紙に書き起こすことのできるアーティスト、スティーブン・ウィルシャーさんも、以前テレビに出てましたね。
サヴァン症候群の特殊な能力の例としてウィキペディアで挙げられているのは以下のようなもの。

  • ランダムな年月日の曜日を言える(カレンダー計算)。ただし通常の計算は、1桁の掛け算でも出来ない場合がある。
  • 航空写真を少し見ただけで、細部にわたるまで描き起こすことができる(映像記憶)。
  • 書籍や電話帳円周率周期表などを暗唱できる。内容の理解を伴わないまま暗唱できる例もある。
  • 並外れた暗算をすることができる。

私達と同じ脳、同じ体でできることなんですがから、
自分の可能性を思ったりもできて、とことん興味深いですね・・・。

グレゴリーさんの作品は、ロービジョン83号で特集が組まれています。

 

※追記:ロービジョン83号は売り切れました。ありがとうございます。

 

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裏面

 

他のカレンダーも気になってみてみると、興味深いセレクションばかり。冒頭の写真もそのカレンダーのひとつ。フラクタルズと書かれたカレンダーですが、お隣のネバダ州では毎年バーニングマンという野外イベントが開催されるのが有名で、特にこのエリアに訪れる方々が好きそうなサイケデリックなもの。

 

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こちらはラルフ・ファサネッラ (Ralph Fasanella,1914 - 1997) のカレンダー。ラルフさんの作品も、以前ブログでアメリカン・フォークアート・ミュージアムで取り上げられた際にご紹介していました。

 

ニューヨークに生まれ育ったラルフは「Social Reality(社会的実在性)」を描写する画家として知られ、労働階級に生きた生粋のニューヨーカーでした。労働者の権利を訴え、アンチファシズムの活動家であった母親と工場労働環境の影響で、ラルフの描く作品は社会運動の扇動ツールとなりました。

カラフルで楽しげな作品ですが、よくみると、階級化され、操作された社会への問題提起に溢れています。ギャラリーでもエキシビジョンを開催されたりと活躍したラルフですが、そういった労働組合運動に基づいた社会性の強い作品だったこともあり、マッカーシー時代の最中には左翼としてブラックリストに名前を載せられてしまい、ギャラリーで展示することはできなくなりました。ラルフが再び注目されたのはニューヨーク・マガジン紙のカバーとして作品を取り上げられたことがきっかけでした。

展示の壁に印刷されていたラルフの言葉。

 

Remember Who You Are
Remember Where You Came From
Don't Forget the Past
Change the World
-Ralph Fasanella
 
思い出そう、自分は誰なのか
思い出そう、自分はどこからきたのか
「過去」を忘れないで
世界を変えよう

 

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ユダヤ系アメリカ人のマルカ・ゼルディス( Malcha Zeldis, 1973 - )さんのカレンダー。 ニューヨークのブロンクスで生まれ、ミシガン州のデトロイトのユダヤ人の貧困層エリアの中で育ちます。最終的に家庭は中流の暮らしができるようになりますが、マルカさんはその貧しかった当時の生活環境や周囲の自然、出会った美術館で得たものを糧に、絵を描いています。

イスラエルにその後移住したマルカさんは、まだ未熟な作品の質と向き合うことになり、苦悩し、絵を描くことを断念しました。後にニューヨークのブルックリンに居を構え、再び制作を開始するのに、実に23年の時が必要でした。

最近知人から、「天職と適職は違う」という話を聞きましたが、まさにマルカさんにはこれが天職だったのでしょう。自分の取り組んでいることに自身が持てず、それでもやはりそれに戻ってくるという、この不思議。人生はおもしろいですね。皆どこかに心当たりのある話かもしれませんね。

絵画制作を再開してから、作品がアートディーラの目にとまりました。作品のテクニックが未熟であるという、彼女にとっては耐え難い弱みだったものが、個性として受け入れらた瞬間でした。

彼女の作品はこちらから見ることができます。
Malcah Zeldis: New York Artist | American Folk Art Museum

 

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エマ・ハワース (Emma Haworth) さん。主に公園を描くエマさん。

この絵の中には沢山の不思議なメッセージやヒントや秘密が隠されているのだそうです。紅茶を飲みながら日がな眺めていたくなります。リンクの作品も素晴らしいので、是非覗いて見て下さい。エマさんの冬の景色は格別ですが、その冬のいち風景が、昨年銀座ウエストの缶のパッケージに使用されていたようです。

 

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http://www.rebeccahossack.com/media/k2c81r/9999x9999/edbda50abf9de6931913f24529f/9498_1000.jpg

原画はこちら。

 

 

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銀座ウエストさんのツイート。美しいお菓子に美しいパッケージ。こんな箱捨てられませんね。

 

このカレンダーの発売元であるPomgranateでは、エドワード・ゴーリーなど日本でもおなじみの作家のカレンダーを始め、なかなか作家のセレクションが素敵です。

 

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さてさて、腹ごしらえしたので、山登り用にナッツを買って

 

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どれもお値打ちなこだわりの美容コーナーを眺めてうっとりして、

 

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山へ行ってきます!(この後壮絶な登山が待っていた事を、この時の私は知らない。)

 

 

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