江戸時代からの伝統文化「BORO」をニューヨークで
マンハッタンのイタリア人街といわれるノーホー(NoHo) エリアに、アトリエ・クールベ (Les Atelier Courbet) があります。そこで先日まで日本の藍とボロ、ツギハギの文化の展覧会が開催されていました。
この展覧会では、日本のユニークな継ぎ接ぎテキスタイルを展示し、クラフトマンシップあふれる伝統表現に焦点を当てています。150年積み重ねられてきた江戸時代からの文化であるボロ布やタペストリーがマンハッタンで見られるなんて、不思議な気分です。
こうして並べて展示してあるとその意味ある営みが伝わってきます。個人的には、日本という国を離れてみた経験から、日本という国の文化を俯瞰で鑑賞できるような気がしました。
ショウケースの中に吊られている手前のスボンは「BORO Trouser (ボロのズボン)」で、1930~1940年代のもの。藍の色合いがこんなに長持ちするものかと、小さな感動を覚えます。ちなみにお値段は $1800(約18万円)。おばあちゃんやおじいちゃんが自分の家の倉庫をひっくり返して、探し始めそうですね。
天井から吊ってある羽織は、江戸時代の筒描きといわれる手法で染められたもの。
BORO FUTON COVER ボロ布団カバー
これが布団カバー!19世紀中頃に使用されていたものだそうです。藍で染められた麻と綿でできています。お値段は$4000(約40万円)。
「もったいない」「買えない」など色んな背景があって縫い継ぎされたものが、その物だけ切り取られてこうして展示されると、余計な偏見が取り払われて、物としての素の美しさが浮き上がってきます。
この布団カバーを見ている内に、若かりし頃に古着屋で5万円のジーンズのつなぎを購入した事を思い出しました。膝あたりなどは特にこのボロのように継ぎ接ぎされ、年季を感じさせる素晴らしい一品だったので、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入したのでした。
しかしその翌日、大事なそのつなぎがゴミ箱に捨てられているのを発見。何事!!と家族に言い寄ると、「頼むから・・・こんな、みすぼらしい服は、着ないでくれないか」と懇願されてしまいました。機能を見るのか、文化を見るのか、焦点次第ですね。
展示品の詳細がこのページから見られます。
密かに人気なKINTSUGI
先日デザイナーの知人のスタジオに行くと「金継ぎセット」と割れたお皿を持ってきて、目の前で修復を始めたことがありました。金継ぎはKINTSUGI としてこちらでは知られているようです。他国の文化であるほうが発見できる面白さもあるのでしょうね。
KINTSUGIを楽しむニューヨーカー
ただ、逝きし世の面影という本にもありますが、ローカルで育った文化は外部から発見されることで失われてしまう傾向もあるといいます。NHKの特集で見て大好きだった、ヤノマミなどのアフリカの文化もそのようでした。
そんな中、文化が失われないよう、こうして静かに取り上げてもらえるのは嬉しい事ですね。
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