メトロショウというのは、ニューヨークで開催されるアートフェアの1つで、アウトサイダー・アート、アール・ブリュット、フォーク・アート等と現代アートを同時に展示するフェアです。この分野ではアウトサイダー・アートフェアと並ぶ、最大級のフェアのひとつ。
総勢およそ40ブース。今年は昨年に比べると随分「アウトサイダー・アート」「アール・ブリュット」を提示するブースが多かったです。憶測ではありますが、昨年のベネチアビエンナーレの影響が少なからずあるように思います。
©Sophie Kitching and Tiphaine Popesco for Art Observed
第55回ベネチアビエンナーレ「エンサイクロペディック・パレス」の様子
2013年に開催された第55回ベネチアビエンナーレ「エンサイクロペディック・パレス」(Encyclopedic Palace)において、現代アートとともにアウトサイダー・アート、アールブ・リュット、フォーク・アート等の作品が同時に展示され話題になりました。日本から選ばれた作家の1人は自閉症の障害がある澤田真一さん。日本のみならず各地で賛否両論の論議が起こった展示会だったようですが、少なくともそういった作品の一般への知名度が高まったことは確かです。
©Francesco Galli, courtesy of la Biennale di Venezia
第55回ベネチア・ビエンナーレ展示された澤田真一さんの作品
この日メトロショーでのパネル・ディスカッションでは、その仕掛け人のキュレーターで、ニューミュージアム ニューヨークのアソシエイトディレクターでもあるマッシミリアーノ ・ジオーニ(Massimiliano Gioni)さんが登壇。他にケビン・モリスギャラリーの共同オーナー、スミソニアン美術館のキュレーター等の方々と熱いディスカッションを交わしました。トップの写真がそのマッシミリアーノさん。(とにかく無邪気でイケメンな方でした。)
ディスカッションの話題はもっぱら、「メインストリーム」と「メインストリームではないアート」の定義や意味、その展示について。もう今やアメリカでも「アウトサイダー・アート」という言葉はだんだん使いにくい感じで、ましてや「アール・ブリュット」となると定義をしっかりと踏まえた上で使用しなければ、専門家には白けられてしまいます。便利な言葉だしジャンルとしては確率しているので、消えることはないと思いますが、なかなかセンシティブな話題です。
さてこのパネルディスカッションについてはまたご報告するとして、作品やブースをご紹介。
店舗の裏にはホットドック製造箱(いや、廃棄ゴミ箱?)こういう細かいところに心くすぐられます
どーんと目立つ織物の作品は、主に障害のあるアーティストを対象とするUMBRELLA ARTSギャラリー所属のルーベン・マロキン Ruben Marroquin さん
ルーベンさんは立体作品だけではなく、その刺繍をパネルに施しています。これは’ニューヨークの地図!
繊細な色使い。真ん中下にあるのはコーヒー?
同じく UMBRELLA ARTSのブースで見つけた 洗濯物と屈伸 靴下のへたり具合に心和みます
遠くからでもものすごい目立っていた作品。Morgan Lehman Galleryより