アメリカぷるぷるアート観光 Altruart in America

ニューヨークより心が震えるアートの紹介。障害とアート/アウトサイダーアート/アールブリュット/現代アート/NPO団体/アートフェア/美術館/おもしろグッズ etc.

ニューミュジアムのパーティから、ベルギーのドクター・ギスランミュージアム!

ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(New Museum of Contemporary Art)の新しい展覧会「Ghost in the Machine」のオープニングパーティに行ってきたので、その様子を。

$アメリカ ぷるぷるアート観光写真上下:ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アートのHPより

 

この美術館は、マンハッタン内のバワリー地区にある、現代美術専門のNPO美術館です。2007年12月にこの場所に、再開館した際、日本の建築家、妹島和世・西沢立衛(SANAA)とゲンスラーによって設計されました。

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←ニュー・ミュージアム全体像

このSANAAは、金沢21世紀美術館の建物を建築された方々でもあります。妹島和世さんが登場するニューミュージアムの動画がありましたので、興味のあるかたは、ここへ。

 

金沢21世紀美術館といえば、初代館長の蓑豊さんが、数年前ま、世界的なオークション会社である、サザビーズの北米本社副社長を務められていました。日本とアメリカの学芸員とキュレーターの違いなど、(なんと)直接教えていただくチャンスもあり、やっぱりニューヨークだなあ、と思ったものです。(誰か会ってみたいと思う人がいたら、本当に会えてしまう!、というのが、ニューヨークの不思議な魅力です。)

 

 

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会場に入ると、人・人・人!思った以上の混み具合。

気合いの入ったおしゃれさんから、その辺のコンビニに行くような感じの格好の人まで、色々。

$アメリカ ぷるぷるアート観光実はぷらりと観光気分で、あんまり展示会の主旨も分からず行った為、なんとなく気になったものから、見ることに。

ビルは5階まであるのですが、エレベーター表示のパネルから、なんとなく3階からスタートすることにしました。

 

3階はなにやらテーマが宇宙。

人間が憧れて、夢見た宇宙の世界の絵や、写真がパネル展示してありました。私は結構こういうの好きなので、楽しかった。

 

さて、実はあんまり「アウトサイダーアート」とか、「障害者」というキーワードにはひっかからないかな、と思っていたのですが、展示されていた写真に、私のとある昔の記憶を呼び起こしたものがありました。

 

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こんな風に展示された中に、

 

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あ、すごい宇宙服だ!とか、あったりするのですが、

私が立ち止まったのが、これ。

 

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上の方の絵。

宙吊りになった宇宙人、みたいな方。

それから、これ。

 

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拷問ベッド?

 

 

以前、アウトサイダーアート、アール・ブリュット、といった作品を見て回りたくて、ヨーロッパ旅行を敢行したことがありました。その時に訪れた、ベルギーのゲント市にある、精神病院+美術館 ドクター・ギスランミュージアム(The Dr. Guislain Museum)を思い出したのでした。

$アメリカ ぷるぷるアート観光Lilaesthete's Blogさんの写真を拝借。

 

この教会のような表玄関。ゲント自体、建物全てが夢のように美しいものばかりなのです。

ドクターギスランさんは、19世紀、ベルギーで初めて精神医学の教科書を書いた人物。$アメリカ ぷるぷるアート観光なんと、この病院はドクターギスラン自らが設計、1857年に建設されたもので、ベルギー初の近代的精神病院だそう。

 

右:こんな器具の展示も。一瞬ヒヤリとする

 

素晴らしいアート作品の数々の展示に加え、中世ヨーロッパで、精神病患者がいかに扱われてきたか、という写真やまるで拷問器具のような物が展示されています。私がこの美術館の気に入っている所は、そういう過去のいわゆる暗ーい歴史も、「悪い」と決めつけるのでもなく、淡々と展示しているところです。

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とにかく、展示品を見るためには全力使い果たすような、てんこ盛りの施設。私は展示を見終わった後、呆然として廊下に立ち尽くしていました。(しばらくしたら、年配の患者さんと思われる方がやってきて、私の背中をぽんぽん、と叩いて去っていきました。私はなぜか涙が止まらなくなってしまった、という思い出も・・・。)

 

なかなか行くチャンスのない場所とは思いますが、もしもベルギーに行く方がおられたら、おすすめの場所です。ギャラリーに展示してある作品の質の高さも、一見の価値ありですし、ゲントにはファン・エイクの「神秘の仔羊」もありますよ!

 

 

ドクター・ギスランミュージアムを検索していたら、

近代日本精神医療史研究会さんのページを発見しました。ベルギー・日本でのアウトサイダー・アートについて、書かれているページがありました。その中で発見した"ON THE MAP Exploring European Outsider Art: A NOTEBOOK"という本がおもしろそうなので、早速購入してみました!

 

このサイトの中で、

>日本でもアウトサイダー・アートへの関心は高そうに思えるが、実際はそうでもないだろう。

とありましたが、先日兵庫県立美術館で開催された「解剖と変容:プルニー&ゼマーンコヴァー チェコ、アール・ブリュットの巨匠」展の企画者でもある、服部正さんが、「アウトサイダーアート」が一番盛り上がっているのが日本だ、と言われていたのを思い出します。

どちらの意見にも、納得です。

 

それから、同じサイト内で、

精神医療へのポジティブなpublic attentionを、アウトサイダー・アートを通して深めていくという文化は日本にはないのか。

「精神障害者の人権を」などという、旧態依然とした社会改革的スローガンだけが空しく響いている(ような気がする)。

とあったのですが、

これは、私には結構新鮮なアイディアでした。

色んな物の見方があるものです。

 

ニューミュージアムからかなり脱線してしまいましたが、そのついでに。

よく引用される、マイケル・ジャクソンの言葉も載せておきます。

 

Do not judge a person, do not pass a judgement on anyone unless you have talked to them one on one.

 

人にはそれぞれ、違った物の見方があるのです。

それを、直接話しもきかず、自分の物差しだけで、物事を決めつけてはいけない、

と、私も自分に言い聞かせています。

 

まさに↓ ニューミュージアム5階の展示より

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ではでは。